PMICの各電源の起動シーケンス制御や初期値電圧がOTPで設定することを前提に、各電源の立ち上げ順序を示したタイミングチャートと各電源の初期値の一例を説明します。OTP(One Time Programmable Rom) とは、 格納するデータを一度だけ電気的に書き込む(プログラムする)ことができるROM(Read Only Memory)です。書き込み後は読み出すことしかできません。
初期電圧値や起動シーケンスはOTPでプログラムできます。また、それらは起動後、プロセッサからレジスタにI2Cでアクセスして、変更することも可能です。併せて、遅延のステップの間隔もOTPで0.5msまたは2msを選択できます。(ただしステップ間隔はレジスタでは変更できません)
各電源の立ち上げ順序を示したタイミングチャートと各電源の初期値の一例
SoCのパワーオン(電源起動)時にPMICの各電源がSoC内の各機能ブロックへ電源供給を開始する順序や、パワーオフ時に電源供給を終了する順序、SoCがスリープ状態に入るときの電源オフ順序やスリープ状態から復帰するときの電源オン順序を制御するのがシーケンス制御です。
PMICはSoC内部の各ブロックに最適な電源を供給しますが、SoCの各ブロックは電源起動順序が決められており、PMICの各電源はその順序に従って電源供給する必要があります。これがシーケンス制御の主な目的です。シーケンス制御で適切な電源投入と電源切断をおこなうことで、バスの競合を防ぐことができます。
また、PMICのDC/DCコンバータやLDOなどの各電源にはソフトスタート機能や電流制限機能によって突入電流を抑制する機能がありますが、これらの電源が同時にすべて立ち上った場合にはPMICの入力側の電源ラインの電圧のドロップは避けられず誤動作の恐れがあります。各電源の起動タイミングをずらすことで、突入電流を分散させて誤動作を防ぐことも、シーケンス制御の目的です。
リコーのPMICは様々なSoCに合わせてそのSoCシステムが必要とする電源起動シーケンスが実現できるように、OTPによってカスタマイズできるようにしています。
PMICに搭載されたOTPには顧客要求あるいは採用するSoCに合わせて、DC/DCコンバータやLDOの起動順序(シーケンス)、起動時の出力電圧の初期値電圧があらかじめプログラムされており、PMICの電源投入時にOTPからプログラムされたデータが読み出され、シーケンスを設定するレジスタや、出力電圧を設定するレジスタに反映されます。
製品別 初期値電圧表 フレキシブルな電圧設定が可能
RN5T618 | RN5T619 | RN5T567 /8 /9 /10 /12 |
By Register | By OTP | |
---|---|---|---|---|---|
DCDC | 0.6V - 3.5V | 0.6V - 3.5V | 0.6V - 3.5V | 12.5mV Step | 50mV Step |
LDO1-2 | 0.9V - 3.5V | 0.9V - 3.5V | 0.9V - 3.5V | 25mV Step | |
LDO3 | 0.6V - 3.5V | 0.9V - 3.5V | 0.6V - 3.5V | ||
LDO4 | 0.9V - 3.5V | 0.9V - 3.5V | 0.9V - 3.5V | ||
LDO5 | 0.9V - 3.5V | 0.6V - 3.5V | 0.9V - 3.5V | ||
LDO6 | - | 0.6V - 3.5V | - | ||
LDO7-10 | - | 0.9V - 3.5V | - | ||
LDORTC1 | 1.7V - 3.5V | 1.7V - 3.5V | 1.2V - 3.5V | ||
LDORTC2 | 0.9V - 3.5V | 0.9V - 3.5V | 0.9V - 3.5V |
自由な組み替えで効率的な開発が可能に
選択できる入出力例
Function | RC5T618 | RN5T619 | RN5T567/8/9/10/12 |
---|---|---|---|
ADC Input | ✓ | ✓ | - |
DETOUT | VUSB/VBAT | VUSB/VBAT | - |
PowerControl | On/Off | On/Off | On/Off/Reset |
CLK32K | In/Out | Out | Out |
LED Driver | ✓ | ✓ | ✓ |
Enable_for_ext_IC | ✓ | ✓ | ✓ |
DVSはDynamic Voltage Scalingの略で、後段のSoCやFPGAなどのデバイスに電源電圧を供給しながら、そのデバイスの動作状態(動作モード)に 合わせて電源電圧を動的に変化させる機能のことで、動作時の消費電流を低減する方法の一つです。 PMICのレギュレーターの電圧を下げることで、後段の電源供給先のLogic回路の消費電流をへらすことが可能です。
後段のSoCやFPGAがStandbyやSleepなど消費電流を減らしたいときに、電源は印加したまま、階段状に段階的に電圧を下げることで、 リップルを抑えたスムーズな遷移で電圧を下げ、消費電流削減に貢献できます。
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Product | Package Size | Mounting Size | Height |
---|---|---|---|
RN5T618 | 36mm2 | 180mm2 | 0.9mm |
RC5T619 CSP6*6 |
36mm2 | 253mm2 | 1.07mm |
RC5T619 BGA(CSP)6*8 |
48mm2 | 503mm2 | 1.1mm |
RN5T567 | 36mm2 | 191mm2 | 0.9mm |
RN5T568 /10 /12 | 49mm2 | 279mm2 | 0.9mm |
RN5T569 | 49mm2 | 279mm2 | 0.9mm |
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